オタクなゼラチンの作り方

四六時中金欠でロクにグッズが買えないオタクがなんか言うブログ

3ヶ月前の話を今する。

タイトル通り。3ヶ月前の話をする。

 

 

 

来たる3月27日。

オタクは初の同人イベントサークル参加という挑戦をした。

 

 

ことの発端は12月末。コミケでフォロワーが推しカプの同人誌を売る、と聞いて飛ぶように人生初のビッグサイトに歩を進めた。

 

 

その本を買い、それを初見で読む動画を撮り(?)、一息ついたころ。ふと思った。

 

 

「俺も本作りてぇ」と。

 

 

これが地獄の始まりである。この決断に後悔はしていない。だが、覚悟ができていなかった。

 

 

同人活動という、一種の「修行」に。

 

 

本を出したいといえど、自分は他の人たちのように絵が描けるわけでもない。文字書きをしているといえど、それだけで興味を持ってくれる内容を書けるかどうかは正直怪しい。

 

 

「自分が持ち得る」特有の武器とはなんだろう。それを考えた時、料理が頭をよぎった。

 

 

専門的な知識はないに等しいが、それなりの数を調理してきたし、なにより料理を作るのは嫌いではない。むしろ好きな方だった。

 

 

これやん。そう思った。

 

 

思い立ったが吉日。早速原稿作業に取り掛かった。

 

 

前述した通り、僕の出す本はレシピ本。そして、自分で書いた二次創作SSとリンクさせた料理を掲載したいというよく分からん思想の元、生まれた二次創作同人誌だった。

 

 

実際、レシピ同人誌というのは少数ではあるが世に出回りはしていた。

 

 

しかし、現在沼にズブズブのアサルトリリィ界隈では当時そのような本は見当たらなかった。

 

 

某チェーン店の定食や丼を紹介するような同人誌はあれど、料理そのものを作るための同人誌は一冊もなかった。

 

 

ならば、私がその先駆けになろうじゃないか。

 

 

そんなわけで、ネタ決め、レシピ決め、調理、試食、撮影など、普通の同人誌ではあまりやらないような手順を踏んだ。

 

 

 

まぁ大変のなんの。

 

 

そんな同人誌を作っている知人やフォロワーなんて見たことなかったので、すべて一から自分で調べ上げて、ひぃこら言いながらせこせこ作って、「違う!!!」ってひとりごとを叫びながら原稿作業に没頭した。

 

 

実際に、レシピ×小説同人誌を作る作業をしてみて、分かったことがひとつある。

 

 

これくそめんどくせえし金がかかる。

 

 

普通の小説同人誌や漫画同人誌と同じく「ボツ」は発生する。が、その「ボツ」の損害がそちらの同人誌では結構大きかった。

 

 

なぜか。

 

 

レシピ段階でボツになってしまったらその食材費が無駄になってしまうのだった。

 

 

通常の同人誌で出るボツは大抵「時間」を無駄にしてしまう。僕の作っていた同人誌はそれにプラスして「食材費」が、もう一つプラスしていうのなら「光熱費やガス代」が上乗せされてくる。

 

 

これに気がついた時、僕は悟った。

 

 

やべぇのに手ぇ出したな、と。

 

 

しかし、表紙や挿絵のイラストも依頼してしまい、後に引けなくなってしまった。もうやるしかない。その一心だった。

 

 

幾度のボツ調理や参考レシピ本を片手に、料理を作る毎日。味に関しては拘ったつもりだ。

 

 

この同人誌のコンセプトとして「様々な形態で生活しているアサルトリリィファンに寄り添えるような同人誌」というものがあった。

 

 

一人暮らしや家庭持ち、シェアハウスなど、人によって生活している形式は様々。中には「子供や恋人と楽しく食事をしたい」「ちょっと料理を練習してみたい」「素早くおいしく食べられるものがいい」などという人もいるだろう。

 

 

そんな人のためにも、簡単なものから少し手間暇のかかるもの、ひとりでサクッと作れるものから作る工程を他の人と共有出来るものまで、幅広い層に向けた(といっても5品だけだが)料理を掲載したつもりである。

 

 

せっかくこの本を買って「作ってみよう」と思って材料を揃えて調理して、いざ食べてみたらそんなに美味しくなかった。なんてことは意地でも避けたかった。

 

 

当然、人によって味の好き嫌いは分かれる。だから、これだったら大抵の人は美味しいと言ってくれるだろう。というラインを最低条件にした。

 

 

そんな思いを胸に、30ページ以上の原稿を書き終え、印刷所に提出。入稿して数日後、一つの段ボールが届いた。そこには、束になってまとめられた75冊の同人誌。

 

 

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(Illustrator:Wednesday様)

 

 

届いた時は圧巻だった。本当にこれが自分の本なのか。ワンチャン誰かの同人誌と取り違えられてないか。そんなことを考えるくらいには感動していて。

 

 

僕の不手際で少しだけ画質が悪くなってしまったとはいえ、それ以外を見れば完璧だった。

 

 

あまり自らこういう事を言うのはよろしくないが、「完璧」と評して3ヶ月間の自分の頑張りを認めてあげたかった。届いた時はたくさん読み返した。多分10周はした。

 

 

そんな思い出の詰まった75冊を抱えながら東京に赴く途中、頒布する同人誌を入れていたスーツケースが同人誌の重みで半壊した。此奴にはこの努力を背負いきれなかったようだ。

 

 

そんなスーツケースを引きずりながら遅刻ギリギリでイベント会場に向かった。

 

 

開場ギリギリで到着してしまったため、俗に言う「設営完了ツイート」をする暇がなかった。

 

 

そんな不手際満載のサークルが作った本にも関わらず、一般入場後はたくさんの人が本を求めて弊サークルに足を運んでくれた。

 

 

「こんな本どこに需要があるんだ??」と思いながら3ヶ月かけて作った本を、その人が働いて稼いだお金で手に取ってくれている。

 

 

これはとある動画を見て感銘を受けた言葉だが「お金を貰う」ということは「その人の時間を貰っている」ことに等しい。

 

 

1000円という30何ページの本にしては少々高すぎる値段を、その人が汗水流して働いて稼いだお金で、なおかつ「その金額を出しても良いと感じたから」お金を出してくれている。

 

 

製作者としてこんなにありがたい事はないだろう。頒布開始から30〜45分ほどで在庫の半分ほどを捌けた時は本当に嬉しかった。初サークル参加でこれは上出来な方だろう。

 

 

ここまで書いておいてなんだが、正直な話、同人活動はあんまりしないほうがいい。不健康にはなるし、下手すれば元が取れない場合もある。そのほかにもなんかもういろいろデメリットがすごい。

 

 

だが、今まで書き記した事を経験するとイベント終了後には「次はどんな本作ろうかな」と考えてしまうのである。

 

 

不思議なものだ。制作途中は「もう二度と作らん…しんどすぎる…」とか息をするように呟いていたのが、その数日後には次の本のネタを考えているのだから。

 

 

それだけ、同人活動には魅力的なものがあるのだろう。一種の脳内麻薬だと思う。

 

 

これは余談だが、弊サークルにたくさん人が来てくれたのはコス売り子さんの影響が9割くらいだと思っている。

 

 

だってめちゃめちゃ可愛かったもん。そりゃみんな集まってくるよ、オタクだもん(?)。

直接見れないもん。隣に一緒に座ってるのが申し訳なくなるもん。

 

 

いろいろつらつらと書き連ねて、一体何が言いたかったのか、最後に叫んでこの文章を締め括ろう。

 

 

同人活動は、いいぞ!!!!!!